原付で、急に前照灯が切れた時は懐中電灯で代用できるか
道路運送車両法は、自動車の登録や保安基準、点検、整備などについて定めた法律
●構造や装置、性能に関する保安基準に適合しないと自動車の製造販売はできない
自動車の安全確保と公害(排ガス、騒音)防止のため、道路運送車両法に基づいて詳細な技術基準、「保安基準」が定められています。これに適合しなければ、クルマを販売することも公道を走行することもできません。
●道路運送車両法とは
クルマに関連する法規はいくつかありますが、もっとも重要なのは道路運送車両法です。道路運送車両法は、自動車や原動機付き自転車、軽車両などの自動車運送車両の登録や保安基準、点検、整備、検査などについて定めた法律で、1951年に制定されました。
●道路運送車両の保安基準【2003.09.26】第 62 条(前照灯)
(前照灯) 第 62 条 原動機付自転車(付随車を除く。)の前面には、前照灯を備えなければならない。
2 前照灯は、夜間に原動機付自転車の前方にある交通上の障害物を確認でき、かつ、そ の照射光線が他の交通を妨げないものとして、灯光の色、明るさ等に関し告示で定める 基準に適合するものでなければならない。
3 前照灯は、その性能を損なわないように、かつ、取付位置、取付方法等に関し告示で 定める基準に適合するように取付けられなければならない。
この法律には細目告示があり、告示第1節、第2節、第3節があります。告示第1節の基準は、「自動車を製造するとき」「型式指定を認定するとき」、同告示第2節(並行輸入自動車等の基準)は、「並行輸入車」、同告示3節(使用過程の基準)は「継続検査」「中古新規検査」に適用されます。
●道路運送車両の保安基準の細目を定める告示【2019.11.15】〈第1節〉第 244 条(前照灯)
(前照灯)
第 244 条 前照灯の灯光の色、明るさ等に関し、保安基準第 62 条第2項の告示で定める
基準は、協定規則第 149 号の技術的な要件(同規則の規則 4.(4.5.1.1.、4.5.1.3.から
4.5.1.6.まで及び 4.12.を除く。)、5.1.、5.2.及び 5.4.に限る。)に定める基準とす
る。ただし、交換式電球の受金形状が、JIS規格 C7709 に定められた形状(定格電球
以外の電球を使用する場合にあっては、その他の誤組付防止措置が図られた形状)であ
る場合にあっては、協定規則第 149 号の規則 4.5.2.2.(b)の規定は適用しないものとし、
施行規則第 62 条の3第1項の規定による認定を行う場合以外の場合にあっては、協定
規則第 149 号の規則 5.1.、5.2.及び 5.4.の規定にかかわらず、最小光度及び最大光度
は、協定規則第 149 号の規則 3.5.1.1.に定める基準に適合すればよいものとする。
2 前照灯の取付位置、取付方法等に関し、保安基準第 62 条第3項の告示で定める基準は、
次の各号に掲げる基準とする。この場合において、前照灯の照明部及び取付位置の測定
方法は、二輪の原動機付自転車以外の原動機付自転車にあっては別添 52「灯火器及び反
射器並びに指示装置の取付装置の技術基準」に定める基準を準用し、二輪の原動機付自
転車にあっては別添 53「二輪自動車等の灯火器及び反射器並びに指示装置の取付装置の
技術基準」に定める基準を準用する。
一 光度が1万 cd 以上の前照灯にあっては、減光し又は照射方向を下向きに変換するこ
とができる構造であること。
二 前照灯の取付位置は、地上1m 以下であること。
三 前照灯は、原動機が作動している場合に常に点灯している構造であること。
四 前照灯の個数は、1個又は2個であること。
五 前照灯を1個備える場合を除き左右同数であり、かつ、前面が左右対称である原動
機付自転車に備えるものにあっては、車両中心面に対して対称の位置に取り付けられ
たものであること。
六 前照灯は、点滅するものでないこと。
七 前照灯の直接光又は反射光は、当該前照灯を備える原動機付自転車の運転操作を妨
げるものでないこと。
八 前照灯は、その取付部に緩み、がた等がある等その照射光線の方向が振動、衝撃等
により容易にくるうおそれのないものであること。
●道路運送車両の保安基準の細目を定める告示【2015.06.15】〈第二節〉第 260 条(前照灯)
(前照灯)
第 260 条 前照灯の灯光の色、明るさ等に関し、保安基準第 62 条第2項の告示で定める
基準は、次の各号に掲げる基準とする。
一 前照灯は、夜間前方 40m の距離にある交通上の障害物を確認できる性能を有するこ
と。
二 前照灯の照射光線は、原動機付自転車の進行方向を正射し、その主光軸は、下向き
であること。
三 前照灯の灯光の色は、白色であること。
四 前照灯は、灯器が損傷し、又はレンズ面が著しく汚損しているものではないこと。
2 前照灯の取付位置、取付方法等に関し、保安基準第 62 条第3項の告示で定める基準は、
次の各号に掲げる基準とする。この場合において、前照灯の照明部及び取付位置の測定
は、別添 94「灯火等の照明部、個数、取付位置等の測定方法(第2章第2節及び同章第
3節関係)」を準用するものとする。
一 光度が1万 cd 以上の前照灯にあっては、減光し又は照射方向を下向きに変換するこ
とができる構造であること。
二 前照灯の取付位置は、地上1m 以下であること。
三 前照灯は、原動機が作動している場合に常に点灯している構造であること。
四 前照灯の個数は、1個又は2個であること。
五 前照灯を1個備える場合を除き左右同数であり、かつ、前面が左右対称である原動
機付自転車に備えるものにあっては、車両中心面に対して対称の位置に取り付けられ
たものであること。
六 前照灯は、点滅するものでないこと。
七 前照灯の直接光又は反射光は、当該前照灯を備える原動機付自転車の運転操作を妨
げるものでないこと。
八 前照灯は、その取付部に緩み、がた等がある等その照射光線の方向が振動、衝撃等
により容易にくるうおそれのないものであること。
3 施行規則第 62 条の3第1項の規定により型式の認定を受けた原動機付自転車に備え
られたものと同一の構造を有し、かつ、同一の位置に備えられた前照灯であってその機
能を損なう損傷等のないものは、前項各号の基準に適合するものとする。
●道路運送車両の保安基準の細目を定める告示【2015.06.15】〈第三節〉第 276 条(前照灯)
(前照灯)
第 276 条 前照灯の灯光の色、明るさ等に関し、保安基準第 62 条第2項の告示で定める
基準は、次の各号に掲げる基準とする。
一 前照灯は、夜間前方 40m(の距離にある交通上の障害物を確認できる性能を有する
こと。
二 前照灯の照射光線は、原動機付自転車の進行方向を正射し、その主光軸は、下向き
であること。
三 前照灯の灯光の色は、白色であること。
四 前照灯は、灯器が損傷し、又はレンズ面が著しく汚損しているものではないこと。
2 前照灯の取付位置、取付方法等に関し、保安基準第 62 条第3項の告示で定める基準は、
次の各号に掲げる基準とする。この場合において、前照灯の照明部及び取付位置の測定
は、別添 94「灯火等の照明部、個数、取付位置等の測定方法(第2章第2節及び同章第
3節関係)」を準用するものとする。
一 光度が1万 cd 以上の前照灯にあっては、減光し又は照射方向を下向きに変換するこ
とができる構造であること。
二 前照灯の取付位置は、地上 1m 以下であること。
三 前照灯は、原動機が作動している場合に常に点灯している構造であること。
四 前照灯の個数は、1個又は2個であること。
五 前照灯を1個備える場合を除き左右同数であり、かつ、前面が左右対称である原動
機付自転車に備えるものにあっては、車両中心面に対して対称の位置に取り付けられ
たものであること。
六 前照灯は、点滅するものでないこと。
七 前照灯の直接光又は反射光は、当該前照灯を備える原動機付自転車の運転操作を妨
げるものでないこと。
八 前照灯は、その取付部に緩み、がた等がある等その照射光線の方向が振動、衝撃等
により容易にくるうおそれのないものであること。
3 施行規則第 62 条の3第1項の規定により型式の認定を受けた原動機付自転車に備え
られたものと同一の構造を有し、かつ、同一の位置に備えられた前照灯であってその機
能を損なう損傷等のないものは、前項各号の基準に適合するものとする。
●道路運送車両の保安基準第2章及び第3章の規則の適用関係の整理のため必要な事項を定める告示
【2019.11.15】第64条(前照灯)
(前照灯)
第64条 平成10年3月31日以前に製作された原動機付自転車(輸入された原動機付自転車以外の原動機付自転車であって平成9年10月1日以降に施行規則第62条の3第1項の
規定によりその型式について認定を受けた原動機付自転車を除く。)については、保安
基準第62条第2項及び第3項の規定並びに細目告示第244条、第260条及び第276条の規定にかかわらず、 次の基準に適合するものであればよい。
一 前照灯は、夜間前方15メートル(最高速度20キロメートル毎時以上の第二種原動機
付自転車に備えるものにあっては、50メートル)の距離にある交通上の障害物を確認
できる性能を有すること。
二 前照灯の照射光線は、原動機付自転車の進行方向を正射し、その主光軸は、下向き
であること。
三 前照灯の灯光の色は、白色又は淡黄色であること。
四 前照灯の取付位置は、地上1メートル以下であること。
五 光度が1万カンデラ以上の前照灯にあっては、減光し又は照射方向を下向きに変換
することができる構造であること。
2 昭和35年9月30日以前に製作された原動機付自転車については、前項第1号かっこ書
の規定は、適用しない。
3 昭和35年9月30日以前に製作された原動機付自転車については、第1項第4号の規定
は、同号中「取付位置は、地上1メートル以下であること。」とあるのを「照射光線の主
光軸は、前方15メートルにおける地面からの高さが1メートルをこえないこと。」と、同
項第5号の規定は、同号中「光度が1万カンデラ以上の」とあるのを「光源が25ワット
をこえる」と読み替えて適用する。
4 平成37年6月14日以前に製作された第一種原動機付自転車及び平成32年6月14日以前に製作された第二種原動機付自転車については 細目告示第244条第1項、第260条第1項及び第276条第1項の規定にかかわらず、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示の一部を改正する告示(平成27年国土交通省告示第723号)による改正前の細目告示第244条第1項、第260条第1項及び第276条第1項の規定に適合するものであればよい。
5 保安基準第62条が適用される原動機付自転車は、当分の間、細目告示第244条第1項、
別添52 4.1.2.及び4.2.2.並びに別添53 5.1.4.及び5.1.5.6.の規定にかかわらず、道路
運送車両の保安基準の細目を定める告示等の一部を改正する告示(令和元年国土交通省
告示第714号)による改正前の細目告示第244条第1項、別添52 4.1.2.及び4.2.2.並びに
別添53 5.1.4.及び5.1.5.6.の規定に適合するものであればよい
●別添52 灯火器及び反射器並びに指示装置の取付装置の技術基準
この基準は、100ページ以上に及ぶため省略する。
自転車の夜間走行は一般的には、発光領域が10cm 2±3cm 2、高さが 地上0.8mにおいて、光度が150cdの白色灯火を有するものと定義されているようである。
(まとめ)
●原付で、急に前照灯が切れた時は懐中電灯で代用できるか
これらの告示を見ると、原付で、急に前照灯が切れた時は懐中電灯で代用できるかということが疑問になる。
細かく見ると、光源が地上より1m以下で、夜間40m先の障害物が確認でき、光源を固定装着部のがたやぐらつきがなく安定していることが基準に記載されている。
懐中電灯は、数十m先までは確認できる、自転車の光が150cd(カンデラ(単位:cd)とは、ある一方向に対する光の強さ(光度)を数値で表わした単位の一つです。)とすると、懐中電灯はどのくらいだろうか、小さな携帯型の懐中電灯で、180CDと記載されるもの
もある。
(https://www.gentos.jp/blog/%E6%98%8E%E3%82%8B%E3%81%95%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/ GENTOSサイトより )。
これを考えると、少し光の強さも弱いのかなと感じます。
そして、固定装着部のぐらつきやがたなどを考えると、基準を満たすのは難しいのかなと感じてしまいます。
無灯火で走るよりは、懐中電灯を固定して走る方がいいに決まっていますが、万が一警察に止められた場合は、事情を説明するのがいいように考えます。